【痛みの正体に迫る】
筋肉?神経?脳?感情?本当に効くケアと限界を、分かりやすく深掘り!
私たち施術家やセラピストは日々「痛み」と向き合っています。
でも、痛みにはひとつの正解があるわけではありません。原因が何パターンか重なっていることもあります。
それどころか、痛みの種類・原因・感じ方は人によってまったく異なるのです。
このブログでは、「痛みとは何か?」に対してさまざまな角度からできるだけ簡単に分かりやすく、それぞれに対して 私たちができること・できないこと(限界) をお伝えします。
【1】痛みの本質:身体からの“アラート信号”
まず大前提として、痛みは「異常」ではありません。
むしろ、生きていくうえで重要な自己防衛システムです。
◆できる対策
・痛みの部位に触れることで「情報」を探る
・過緊張や血流不足が原因ならアプローチ可能
◆できないこと・注意点
・「痛み=悪」と思い込んで無理に消そうとすると、逆に悪化するケースもある(感覚の麻痺や再発)
【2】慢性痛:脳が記憶してしまった“ゴースト信号”
ケガは治ったのに痛みが続く「慢性痛」は、脳が痛みを記憶し、“痛み回路”を学習してしまっている状態。
これを**中枢性感作(central sensitization)**と呼びます。
◆できる対策
・施術で触覚・圧刺激を変えることで脳の回路に“再教育”を促す
・呼吸法・瞑想・ローリング・ストレッチなどで副交感神経を優位にする
◆できないこと・注意点
・「治してほしい」「すぐ取ってほしい」という受け身だと、脳の痛み回路は上書きされにくい
・心理的要因の強い場合は、専門のカウンセリングや医師の介入が必要
【3】筋膜の問題:痛みの“サイレントゾーン”
筋膜(ファシア)は筋肉や臓器を覆う薄い膜で、全身につながっています。
この筋膜が「ねじれ」「癒着」「乾燥」することで、表面的には異常がなくても深層の痛みや突っ張りを引き起こします。
◆できる対策
・ローリング器具によるファシアリリース
・水分補給と軽い運動で筋膜の滑走性を保つ
・皮膚からの揺らぎ刺激(ストレッチやピラティスなど)
◆できないこと・注意点
・強いマッサージで無理に押すと、逆に組織を痛めることがある。
・筋膜はストレスや姿勢とリンクして再癒着しやすい → 継続ケアが鍵を握る。
【4】血流・リンパの滞り:じわじわとくる“鈍い痛み”
血流・リンパの循環が悪くなると、酸素が届かず、老廃物が滞留し、痛み物質(ブラジキニンやヒスタミン)が蓄積します。
これが「だる痛い」「重い」という感覚になります。
◆できる対策
・温熱や軽体操や交代浴やローリングで循環改善。
・深呼吸・ふくらはぎのポンピング(第二の心臓)を刺激すること。
・むくみ対策(塩分・水分・運動)、お酒、糖分の量を減らす。
◆できないこと・注意点
・循環の滞りだけが原因ではないことも(自律神経・内臓由来など)。
・ただ温めるだけでは根本的に改善しないことも。
【5】感情と痛み:メンタルが筋肉を固める
感情は身体に現れます。
怒りは肩・胸・拳に、悲しみは背中・腰に、不安は胃腸や呼吸器に影響を与えます。
感情が処理されないままだと、体が緊張を学習してしまいます。
◆できる対策
・施術中に「安心」を感じてもらう(リラックス神経の活性)
・涙やため息などの“解放反応”を受け止める空間づくり
・表情筋やあごの緊張もチェック(片方でも噛み癖)
・ウォーキングやヨガや自然に触れたり環境を変えてみる取り組み。
◆できないこと・注意点
・根深いストレスやトラウマは話だけで解消できないことが多い。
・気軽な「頑張って」や「気にしすぎ」も逆効果になることがある。
【6】姿勢と動き方:痛みを生む“脳のクセ”
姿勢は「形」ではなく「動きのパターン」。
反り腰・巻き肩・猫背などは、脳が無意識に学習した“動作の省エネ”です。
その結果、一部の筋肉ばかり酷使し、痛みが出やすくなるのです。
◆できる対策
・ローラーピラティスなどで使えていない筋肉を再教育
・脳の誤作動パターンを修正(左右差・体性感覚の統合)
・鏡や動画で自分の動き方を視覚的に確認する
◆できないこと・注意点
・1回の施術で動きのクセは変わらない → 脳に覚えさせるには“反復”が必要。
・姿勢だけ整えても「動かし方」が変わらなければ痛みは戻る。
【7】東洋医学の観点:気・血・水のバランス
「痛み=気の滞り」と捉えるのが東洋的視点。
エネルギーの流れが悪いと、痛みが生じやすくなります。
◆できる対策
・経絡に沿ったローリング刺激やツボ刺激
・冷え対策(気・血の循環サポート)
・心身一如(体と心を分けない)という発想
◆できないこと・注意点
・気の流れは目に見えないので、信頼関係と継続が大切。
・気の概念だけで医学的な病変を否定しないこと。
【8】痛みとの付き合い方:敵ではなく、味方に変える
痛みは「今のあなたに必要な情報」。
体が「何かがおかしい」と教えてくれている大切なサインです。
痛みを敵とみなして戦うのではなく、
“共に歩む”視点で向き合うことで、自然と和らぐケースも多くあります。
【まとめ】痛みには、それぞれの理由がある
『腰が痛い』『肩が痛い』ーーそんな一言の裏には、単なる身体の不調だけではなく、
体の使い方の癖や姿勢、心の状態、生活習慣、職場や家庭といった環境など、
さまざまな背景が関係しています。
つまり、痛みは偶然に起きているのではなく、何かしらの『理由』があるのです。
一時的な痛み、繰り返す痛み、なかなかよくならない痛み。痛みの種類や現れ方も、
人それぞれ異なります。でもそれは、あなたの体や心が『何か気づいてほしい』と
サインを出しているのかもしれません。
当店では、その『痛みの理由』に耳を傾けることを大切にしています。ただ痛みを和らげるだけではなく、なぜその痛みが起きたのか?ーーその根本に目をむけ、一緒に考え、未来のあなたがもっと軽やかに、もっと自由に過ごせるようにサポートいたします。
あなたの体が本来持っている力を引き出し、『整うこと』『感じること』『回復すること』を大切に。
ぜひ一度、『痛み』と向き合い、自分自身と対話してみませんか??